El otoño de la familia Kohayagawa (Kohayagawa-ke no aki, 1961)
この秋、フィルモテカ・デ・カタルーニャと国際交流基金の共催により、これまでのスペイン国内最大規模となる小津安二郎監督作品の回顧上映会が行われる。この回顧上映では、初期のサイレント映画作品「学生ロマンス:若き日」(1929)から、女優原節子との最後の共演作品となった「小早川家の秋」(1961)や「秋刀魚の味」(1962)まで、小津監督の映画監督人生をほぼカバーする18の作品が上映される。
 
日常生活を描く天才として知られる映画監督、小津安二郎は、黒澤明、溝口健二と並んで、日本のクラシック映画の巨匠として世界的にその名を知られている。53 本の作品からなる彼のフィルモグラフィーは、ポエティックな世界観で社会関係の日常を表現することで、同世に留まらず、後世や日本国外の映画監督たちにも影響を与えた。この回顧展では唯一無二の映画監督の存在と共に、同監督の著名作品から当時はあまり映画館のスクリーンでは観られる機会の無かった作品まで、幅広い作品を観客に楽しんでもらえる事を目的としている。
 
日時: 2019年11月1日~12月15日
場所: フィルモテカ・デ・カタルーニャ (Plaça Salvador Seguí, 1-9. 08001 Barcelona)
入場料: 4ユーロ。 割引料金:3ユーロ。 入場券の詳細については、フィルモテカ・デ・カタルーニャのウェブページをご覧下さい。

上映作品及び上映時間


El sabor del sake (Samma no aji, 1962)

「学生ロマンス  若き日」 1929年、103分
現存する小津作品の中で最も古い作品。とある旅行で同じ女性に恋をしてしまう二人の大学生を描く。映画監督としてキャリアを始めた頃のコメディ作品。
上映日: 12月4日(水)、12月6日(金)
 
「落第はしたけれど」 1930年、64分
数少ない現存の小津監督のサイレントフィルム。本作品のジャンルは「学生もの」。試験地獄に追われる学生の悲劇を描くコメディ。
上映日: 11月16日(土)、11月22日(金)
 
 「大人の見る繪本  生れてはみたけれど」 1932、91分
社会問題を描くようになった小津監督のコメディ作品は、本作品では吉井一家が市の郊外へ引っ越してからのサラリーマン社会の悲哀と日常生活を追う。その30年後の世界は、別作品「お早よう」で見ることができる。
上映日: 11月3日(日)、11月6日(水)
 
「長屋紳士録」 1947、72分
家族が行方不明となった一人の子どもが、戦後のとある東京の長屋街を訪ねる。この作品で小津監督は当時のこの地区の住民達とその生活状況を描く。小津監督の戦後初の作品であり、今回上映される作品の中では最初のトーキー作品でもある。
上映日: 11月28日(木)、12月1日(日)
 
「風の中の牝雞 」 1948年、84分
女優及び監督でもある田中絹代演じる時子は、太平洋戦争後の東京で、夫の復員を待ちながら子供との生活に困窮し、一度だけ身体を売ることを決意。夫の復員後の彼らの心境の変化を小津監督はこの作品で表現する。
上映日: 11月24日(日)、11月30日(
 
「晩春」 1949年、108分
数々の作品でコンビを組んでいる脚本家の野田高梧との作品の一つで小説が原作となっている。原節子(6作品で同監督とタッグを組んでいるが、この作品が第1作品目となる)演じる紀子は、笠智衆演じる大学教授曾宮周吉の一人娘。父親を独り身にさせまいと結婚もせず、家に残っている。本作品は、父娘の関わりから日本の伝統と価値観を描く日常ドラマに仕上がっている。また小津が映画監督としての才能を示す日本映画界屈指の作品でもある。
上映日程: 11月8日(金)、11月10日(日)
 
「宗方姉妹」 1950年、112分
不幸な結婚をした姉、節子(田中絹代)の家で同居している妹、満里子。保守的な姉とは違って、革進的な考えを持つ満里子は、姉を彼女が愛する男性と再会させようとする。満里子自身、その男性を愛していることを秘密にして。野田・小津コンビが手掛けた、二人の異なる考えが対立するドラマストーリー。
上映日: 11月21日(木)、11月26日(火)
 
 「麦秋」 1951年、125分
鎌倉で両親と兄家族と同居する紀子(原節子)。三世代が同じ屋根の下で暮らす中、周りは紀子に対してしつこく結婚相手を見つけようとする一方、自分の未来は自分で決めようとする彼女。親と紀子の世代の考え方の違いについて、改めて考えさせられる作品である。
上映日: 11月6日(水)、11月7日(木)
 
「お茶漬けの味」 1952年、116分
生い立ちが全く異なる、子供のいない夫婦のすれ違いと、見合い結婚を嫌がる姪。この2つの対立を中心に一般の人々の日常が描かれたドラマストーリー。
上映日: 12月11日(水)、12月14日(土)

「東京物語」 1953年、135分
孫に会いに行くため、上京した老夫婦。忙しい子供たちからは相手にされず、ガッカリする彼2人は、大都会の暮らしには向いていないと気が付く。この作品で再び「紀子」という女性を演じる原節子と笠智衆に、野田高梧による脚本。「東京物語」は小津監督の代表作であり、一番の名作と言っても過言ではない。
上映日: 12月7日(土)、12月11日(水)
 
「早春」 1956年、144分
この作品で再び中流労働者階級の生活に焦点を当てた小津監督。息子を失ったサラリーマンとその妻のギクシャクする日常を描く。
小津監督はこの様な一般の人たちのストーリーの中に、チャンスはまたやってくる、と言うポジティブなメッセージを込めている。
上映日: 12月13日(金)、12月15日(日)
 
「東京暮色」 1957年、141分
おそらく同監督のキャリア後期の作品の中でも、あまり知られていないものの一つであろう。母親に捨てられた姉妹の壊れた家族模様という暗いテーマを扱ったこの作品は、当時「失敗作」として映画評論家からも観客からも低評価を与えられてしまった。
上映日: 11月27日(水)、11月29日(金)
 
「彼岸花」 1958年、120分
小津の監督作品として初のカラー映画となる「彼岸花」は、彼の代表作の1つである。里見弴の原作をシナリオ化したこの作品は、娘たちの人生を支配しようとする父親に対し、見合い結婚に反発し、自分たちの相手は自身で決めたい娘たち。
小津はこの作品でも、平山家を通じて、世代による価値観の違いを描いている。
上映日: 11月5日(火)、11月15日(金)
 
「お早よう」 1959年、94分
テレビを買ってもらうまで口を利かないというストライキをする子供たちの様子を中心に、東京の郊外の住宅地の日常を映す。
「生まれてはみたけれど」から30年後の類似した物語を、小津監督はこの作品で繊細に表現している。
上映日: 11月2日(土)、11月7日(木)
 
「浮草」 1959年、119分
1934年に製作した「浮草物語」を自らリメイクした小津監督。ある旅回りの役者が、連れ合いの女性と共に、昔の恋人とその間に生まれた子供が住む町を訪れる。失った時間を取り戻したいという彼の心は、周囲の人たちにも波紋を呼んでしまう。特に、現恋人の女性はこの事を知り、若き若尾文子演じる役者仲間の女性を使い、主人公の息子を誘惑するという復習を企む。
上映日: 12月13日(金)、12月14日(土)
 
「秋日和」 1960年、129分
本作品も里見弴の原作をシナリオ化した作品で、当時の日本社会での家族の義務と、世代間の価値観の違いによる衝突を描く。
この作品では、司葉子演じるアヤ子が、原節子演じる夫を亡くした妻の一人娘であり、亡くなった父の友人たちからの見合い話を拒んで、母の世話を行う。本作も小津の代表作の一つ。
上映日: 11月14日(木)、11月21日(木)
 
 「小早川家の秋」 1961年,103分
原節子が出演した最後の小津作品。日本の伝統の変わり様を京都と大阪を舞台に映し出す。造り酒屋を経営する小早川万兵衛は、全く異なる状況に身を置く3人の娘たちに幸せになってほしいと願う。明子は、義理の娘で、亡くなった一人息子の妻。次女の紀子は独身で明子と暮らしている。一方、長女の文子は酒屋の従業員と結婚し、父と同居している。
上映日: 11月1日(金)、11月9日(土)
 
「秋刀魚の味」 1962年、113分
小津監督の遺作となったこの名作は、一人娘の結婚話を軸に、笠智衆演じる妻に先立たれた初老の父親、平山と3人の子どもたち、昔からの友人たちとの複雑な関係を描く。
上映日: 11月12日(火)、11月15日(金)
 
主催:国際交流基金、フィルモテカ・デ・カタルーニャ。この回顧上映はBeyond2000のプログラムの一環として開催されています。 
 
協力:Asian Film Festival Barcelona、Mostra de Cinema Espiritual de Catalunya