国際交流基金は日本より、日本庭園の専門家2名を招聘し、マドリード及びバリャドリッドにて講演会を実施します。

【マドリード講演】
日時: 2018年2月13日(火)19:00-
会場: マドリード王立植物園 Real Jardín Botánico de Madrid - CSIC - Salón de Actos. (講演会時はC/Claudio Moyano, 1よりお入りください。)
参加費: 無料。事前申し込み要。info@fundacionjapon.es宛に、参加希望講演会名「日本庭園に関する講演会」、参加希望者氏名、身分証番号をお送りください。

【バリャドリッド講演】
日時: 2018年2月14日(水)13:00-
会場: バリャドリッド大学建築学部
参加費: 無料。定員に達し次第、入場を締め切らせていただきます。

講演1
「日本庭園の心と技 日本庭園の見方と楽しみ方
 講師:福原成雄(大阪芸術大学建築学科教授)
日本庭園は、原始、飛鳥、奈良、平安、鎌倉、室町等の各時代に大陸からの庭園・建築技術や風俗習慣の影響を受けながら世界に類を見ない自然風景美を基本とする神仙庭園、寝殿造庭園、浄土庭園、枯山水庭園などの庭園形態を生み出し、そして日本独自の庭園文化を発展させてきました。
このような日本庭園の変遷ついて分かりやすく解説すると共に、さらに、伝統的な日本庭園技法に基づいて、日本及び海外での日本庭園作りについてお話しします。

講演会2
「日本庭園の匠 ~伝統の継承と新たな意匠~」
 講師:辻井博行(辻井造園代表)
日本では、古より様々な庭園様式が生まれ、時代と共に発展してきました。
中でも代表する3つの伝統的な庭園様式として、「池泉」「枯山水」「露地」があり、それぞれの作庭手法の一部を解説します。
また近年においては、自然の心地良さを感じる雑木の庭や、伝統的な要素を活かしつつ現代風にアレンジした斬新な庭が多く作られています。
このような生活スタイルの変遷に合わせて多様化する現代の庭園を紹介します。
さらに、日本文化の伝統美のひとつとして、作庭から始まる庭園の守り育て方について、その技法をお話しします。


福原成雄
大阪芸術大学芸術学部建築学科教授
京都府出身、1975年大阪芸術大学芸術学部環境計画学科卒業、現在、大阪芸術大学芸術学部建築学科教授。造園と文化財庭園調査を専門とし、日本庭園の成立や技術交流の歴史、海外における日本庭園の意義と影響に関する研究活動を展開するとともに、世界各国で日本庭園の保存修復、設計、作庭、維持管理、技術指導を広く実践し、「日本庭園の伝導師」として人材の育成にあたっている。1999年には英国Tatton Parkフラワーショーにおける日本庭園がThe Royal Horticultural Societyの特別賞を受賞。さらに2001年には、世界中の造園家の憧れであり、世界で最も歴史が古く権威ある英国の園芸品評会「チェルシー・フラワーショー」に日本庭園を出展し、日本人で初となる金賞と最優秀賞を受賞した。高い評価を受けた同庭園は、受賞を機にウェールズ国立植物園に移築され、永久保存された。国内での活動は言を俟たず、海外で手がけた日本庭園は代表的なものだけでも、英国王立キューガーデン日本庭園(1996)、中国長春市日中友好会館日本庭園(1998)、ウェールズ植物園内日本庭園(2001)、ロスチャイルド美術館内日本庭園(2003)、英国王立園芸協会ウイズリーロックガーデン(2005)、トルコ・エスキスェヒル市日本庭園(2010)など、枚挙に暇がない。2014年からは、英国コーデン城日本庭園復元工事を手掛けている。著書に『日本庭園を世界で作る』(学芸出版社、2007)、『海外に調和した日本庭園をつくる』(主婦と生活社、2008)など。2006年には、ニューズウィーク誌の特集「世界が尊敬する日本人100人」に選ばれている。

辻井博行
1970年滋賀県大津市生まれ。大阪芸術大学環境計画学科卒。
 大学在学中から、西の雄として日本を代表する造園家、環境計画学科長(大阪芸術大学学長)中根金作氏(京都)より古庭園を学ぶ。卒業後は東の雄として日本を代表する㈱綜合庭園研究室・中島健氏(東京)の元で作庭に従事する。中島健氏は「花の造園家」として著名であり、ローマ・モントリオール・カウラなど、世界中に数多くの作庭を手掛けられている。1992年には、中島氏とともにミネベア軽井沢山荘内ゲストハウス周辺改修工事/長野・軽井沢に携わった。

1995年に㈱辻井造園入社、2004年から代表取締役。中島健氏によって培われた新たな感覚の作風と、中根金作氏から学んだ代々受け継がれた伝統技法を融合し、京都・滋賀を中心に活動を行っている。
国内の主な庭園としては、本家鶴喜そば庭園改修/滋賀・大津(2006)、仁寿殿ゲストハウス庭園改修/京都・金閣寺(2008)、宮川町えん坪庭/京都・東山(2012)、石山紫の道造園修景(石山寺表参道)「さざなみの庭」「曲水の庭」/滋賀・大津(2014) 、吉田家古庭園復元/滋賀・草津(2016)などがあり、これら作品により各種賞を受賞。
 海外における活動としては、2001年から福原成雄氏と共に、海外の日本庭園復元および作庭プロジェクトにも取り組み、実践家として内外における人材育成に貢献。主な実績としては、タトンパーク内日本庭園修復(1996)、「チェルシー・フラワーショー」日本庭園(2001)、ウェールズ植物園内日本庭園(2001)、ロスチャイルド美術館内日本庭園(2003)、英国王立園芸協会ウイズリーロックガーデン(2005)など。